続続 中国 ぶっ飛びの旧正月
中国は広いため、
お正月を祝う食べ物も各地で異なる。
日本では、
お雑煮の具や味付けが地方ごとに異なるという現象はあるものの
「お餅を食べる習慣」 という点では、文化の異なる南方諸島を除き
まずまず全国共通であると言えよう。
しかし中国の場合、「お正月に必ず食べるモノ」自体が 異なるのだ。
多くの日本人が知っている中国のお正月アイテム、餃子。
これは、文字からして子孫繁栄を意味する おめでたい食べ物だ。
大晦日、家族親族一族郎党が大集合して
大量の餃子作りをする ――
この習慣は有名だが、
しかし 北京を含む北方地方だけの習慣である。
上海では、お正月に餃子を食べるという習慣は無い。
そもそも 餃子を作ったり食べたりする習慣が 無いらしい。
北方人は馬に乗り 南方人は船に乗る
北方人は粉を食べ 南方人は米を食べる
と言われるように、南方である上海では 基本的に
「粉 ―― 餃子系」を食べる習慣は日常的ではなくて
「米 ―― ごはん系」が主流なのである。
で、上海で お正月に必ず食べる縁起ものは 「八宝飯」 。
一瞬 八宝菜を乗っけた いわゆる 「中華丼」 かと思うがそうではなく、
むしろ・・・ 「ぼたもち系」 と言った方が近いかも。
もち米に ナツメとか杏とかのドライフルーツを 種々色とりどりに
混ぜ込み、砂糖たっぷりで 円い型に蒸したものが 「八宝飯」 である。
あんこの衣を着ているわけではないのだが、この「八宝飯」は 本質的に言って、やはり 「ぼたもち系」 だと言えよう。
もうひとつ、必ず食べるのは 「魚」 。
「魚」 の中国語での発音は 「yu」 で
これは 「余」「裕」と同音であるため、
魚 は 音として縁起のいい食べ物なのである。
一尾ごと、蒸したり揚げたりして食べる。
一尾ごとの魚のうち、最も縁起がいいのは 「頭部」。
お客さんの中で いちばん上位の人に 魚料理の「頭」が向くように
テーブルに置き、「頭」 を食べてもらう。
いちばん上位の客、は 遠来の客・珍しい客 だ。
去年 大金を貸してくれた親戚、というような客がいても、遠来の珍客
を上位に置いて もてなす。
これは
「他人にいいかっこして 身内はひっこむ」 という姿勢からではなく
「遠来の珍客 が来てくれるのは有難いこと」
「遠来の珍客が来るというのは 自分んちに福がある証拠」
という、縁起を重んじる姿勢から生まれた習慣である。
う~~む。
辛党で 且つ 魚嫌いな遠来の珍客である私には
決して有難い習慣ではなかったけれども・・・
さらに、時代の流れによる新習俗が加わり、
モンダイは 「大甘 八宝飯」 だけではなくなった。
なんと!
上海では、私が行った2000年頃から
「お正月に西洋式の特大デコレーションケーキを食べる」
という新たな習慣が流行し始めたのだ。
もちろん
遠来の珍客に いちばん大きな一切れを・・・
う~~むむむ。
縁起に対する 衒いの無い姿勢。
客を、いいかっこしぃ ではなく 自分たち自身のシンプルな喜びからもてなす姿勢。
それらに対して、
私の「心」は 非常に嬉しかったが
私の「舌」は 心に反して なかなかツライ、上海のお正月であった。

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